【ギフテッド教育ってなにすんの①「SEN」の先生】SENの「スペシャル」とギフテッド
【ギフテッド向きの教育システム①インクルーシブ教育とギフテッド】で書きましたが、息子が通っているインターナショナルスクールには、「スペシャル」な生徒さんたちのサポートをする「Special Educational Needs」略して「SEN」があります。
でもその中にギフテッドは含まれておらず、ギフテッド用のサポートとかプログラムはありません。
それでもインターナショナルスクールなので、「ギフテッドなんです」という話を担任の先生にしても、そんなに驚かれたり困られたりすることもなく、「そうですか、それではお子さんのポテンシャルを最大限に伸ばせるようにお手伝いさせていただきますね」とポジティブに対応してくださることがほとんどでした。
担任の先生と「SEN」の先生と三人で面談
新年度を迎えて新しい担任の先生になるたびに「ギフテッドです」の申告をすると、最初の保護者面談でそのことについてお話しすることになります。
保護者面談は普通は担任の先生と私(あるいはプラス夫)なのですが、中には「SEN」のリーダーの先生をわざわざ保護者面談に呼んでくれた先生もいて、その時は私と担任の先生と「SEN」の先生3人での面談になったことがありました。
「SEN」の先生はギフテッドは専門外ですが、私はもともと「SEN」の先生とお話したかったので、思いがけずお会いできてありがたかったです。
ここではちょっとその面談の時のことについて書いてみたいと思います。
「視覚過敏です」「視覚優位型です」「ギフテッドです」の三段論法
面談では、まずは私の方から、気になる事、息子の特殊な部分についてのお話をさせていただきました。
これは初めて会う人に息子が「ギフテッドである」ことを説明しなければならないときの私の話の持って行き方なのですが、息子が何が得意で優秀なのか、ではなく、知っておいてもらわないと誤解を受けること、から始めます。
息子の場合は特に視覚的に過敏で思わぬところで弊害が出ます。
一般的には何の変哲もない模様とか形に拒絶反応を示してしまうので、息子の特性を知っておいてもらわないと、授業中に「うわっ、この形ヤバい、近づけない、でも近づかないと課題が出来ない」みたいな状況に陥ってしまった時、「何こいつふざけてんだ」とか「何こいつさぼろうとしてるんだ」といった誤解を招いてしまう恐れがあります。
なので、新しいクラスになって新しい先生に連絡するときは、「こういう特性があるので知っておいていただきたいんでお話しできるお時間いただけると嬉しいです。」というスタンスでまずはアプローチ(メール)し、その特性がどこから来るかを説明するために、サイコロジストのレポートやらジョンズ・ホプキンス大学CTYの書類やら添付してそれの説明を加えます。そうして自然と「ギフテッド」であることをお伝えします。
そして面談では、その特性にご理解をいただくと同時に、息子は自分自身で克服しようとしていること、実際、前ダメだったものが今は大丈夫になっていたりするので、無理強いしたりトラウマになるようなことはしないでください、とお願いします。
息子の場合は視覚過敏が極端で、それと同じふり幅で得意な側にも極端なので、説明しやすく理解してもらいやすいケースなのかもしれません。
例えば、今は平気になりましたが、かつて息子はタイの大手携帯キャリア会社Dtacのロゴがダメでした。
これの右上にある青い葉っぱみたいなマークです。あれの何がそんなに怖いのでしょう。
あと、日本のとんかつ屋さん、かの有名な「「ヒレかつサンドの箱をモチーフにしたマルチポーチ」まで出ている人気のとんかつ屋さんのあのマークが怖くて店に入れず、私の好物のとんかつがしばらくおあずけになりました。もちろんマルチポーチも持てません。
ショッピングモールを歩いているだけでも、ダメなものがあるとその前を通ることさえできなくなってしまうので、わざわざ違う階に移動して遠回りして目的地まで行く羽目になったり、はるか遠くの方に見えた何かに反応して前に進めなくなってそこから動けなくなってしまって目的地変更とか、まあ面倒くさいことこの上ありません。
超視覚優位の特性の一つだから仕方がない、なんて言っていられるうちはいいですけど、急いでいる時とか切羽詰まっている時に、「あの葉っぱが怖くてここは通れない」とか、おなかペコペコでやれやれとレストランに入ってからテーブルの上に置いてあるちっちゃい置物に反応して「この店ヤダ」とかなるとさすがにキレたくなります。
キレてもダメなもんはダメなんで、腹ペコでクタクタで不機嫌でも再び店探し。
【視覚優位型ギフテッド③全身が脳である】でも書きましたモンテッソーリのおもちゃ『Resources』のパーツ「Steel」への反応など、見えている世界が違うので予想外の反応に翻弄されることがしばしばあります。
だから【知能指数検査とギフテッド判定④メンサのドクター】の時のようなここぞという時には、何か見えちゃいませんように、と神頼みするしかありません。
「SEN」の先生にご同席いただいた面談でも、上記のような諸々のエピソードを淡々とお伝えしました。
そのあとにサラっと、視覚優位がアカデミック的に有利に作用している例、例えば視覚で記憶する分野にはめっぽう強い、と言ったことをお話ししました。
興味津々で聞いていただき、今度は息子をアカデミック的にどう伸ばすか、という議題に移りました。
アカデミック的にどう伸ばすか
で、その「アカデミック的にどう伸ばすか」なんですが、英語のリーディングについてこんなアドバイスをいただきました。
当時息子はYear2(日本の小学一年生)でしたが、先生に言われたのは「チャプターがある本を読むように」とのことで、以下の作家を紹介されました。
『Fantastic Mr. Fox(ファンタスティックミスターフォックス)』でおなじみのRoald Dahl。映画になった『Charlie and the Chocolate Factory(チャーリーとチョコレート工場)』やミュージカルで有名な『Matilda(マチルダ)』の原作者です。
コメディアンで児童文学作家の David Walliams。代表作は『Gangsta Granny』。
『Babe(ベイブ)』が映画になってます。かわいくって大好きなお話です。
『Horrid Henry』シリーズが有名
これらは、当時の息子の学年より少し上のレベルの本、ということになります。いわゆる先取りですね。
それから、「図書館の司書にも何かお勧めの本があるか聞いておくわね。」ということで、とにかくいろいろ読め、ということです。
Year2(日本だと小学一年生)だとまだまともな科目が算数と国語(英語)くらいしかないので、読み書きの基礎を固めて、広げる、って感じです。
本人が興味のある本はほっといても高度な内容でもいくらでも読むので、あえて興味のない分野の本もたくさん読ませて、見識を広げ、読解力のベースとなる語彙を増やしましょうと。
幅を広げて豊かにする「エンリッチメント教育」
ギフテッドがだとどうしても「好きなことを深く掘り下げていく」に尽力しがちですが、幅を広げていくことも同時に大切で、それは学校だからこそできることでもあると思います。
得意な分野で活躍できるような活動をするのが「エンリッチメント=豊かにする」ならば、幅を広げることも人生を「豊かにする」=エンリッチメントだと思っています。
実は息子が得意なのは読解ではなく数字や図形等の数学系です。ギフテッド判定された時も、99.8パーセンタイルが出た視空間認識力に次いで高かったのが計算・算数関連でした。
ジョンズ・ホプキンス大学CTYのギフテッドプログラムでも読解力強化のコースなんかを受講しているので得意なように思われるかもしれませんが、実は読解はどちらかというと苦手です。
よく目にする「ギフテッド」な人のエピソードには「本が好き」なんて言葉が入っていがちですが、息子の場合あいにくその辺あてはまらず、「本読むの嫌い」と本人も言っているくらい嫌いです。
好きな分野の本となると話は別ですが、読みたくない本は読みません。
算数に文章問題が出てくるようになったときに「読解力がさらにつけば算数ももっと伸びるのでさらにリーディングがんばりましょう」と先生に言われたくらいです。
苦手なところに力をいれることによって、得意な方もさらに伸びるということ。
まあ好きな本なら読むのでそれでも読解力は強化できますが、本は読解力強化だけのためではなく、その中に広がる世界を楽しんで自分の世界を広げることができるものですから、読みたくないものも読んでおいた方がいいんです。
小学校の時に教科書で読まされた『モチモチの木』なんて自分から手に取って読むお話じゃないけど、いろんな意味で物凄く心に残ってますもん。
味を占めてギフテッドコーディネーターの先生に突撃することにする
「SEN」の先生はギフテッドの専門家ではなかったけど、お話しさせていただいたことにより、沢山得るものがありました。
一人で考えてると煮詰まっちゃうので、いろんな人にお会いして話を聞いてみる、っていうのも、大切かも。
ということで味を占めて、次は「ギフテッド・コーディネーター」の経験がある先生にお話を伺ってみることにしました。